【書評】言葉を届けること。 | 言葉の贈り物(若松 英輔著)
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こんばんは。
けんじぇるです。
言葉というのは不思議なもので、使いようでいくらでも変わっていくものです。
最近改めて言葉って大切だなと思ったのです。いつも感じているんだけれど、余計にといいますか 。
ある何かに悩む友達がいました。いつも笑顔ではあるんだけど、どこか無理をしているというか、何かきっといっぱいいっぱいなんだろうな、と感じていて。
あるときふと話しができるときがあったので、ひとつの言葉・文章を贈りました。それがそのとき適切だったのか、僕にはわからなかったけど”なんとなくこれだ”という曖昧なものを信じて贈りました。
そうすると渡したその人は少しの間を置いて、涙を流しはじめました。
きっと求めていたコトバだったんだと思います。
何かよくなればいいなと思って贈ったものがそうやって届いて、言葉を届けるということは大切なんだと思いました。そう思ったときに、ちょうどこの本ならそれをより深められると思ったので、開いてみました。
そこには大切で、必要なことが書いてあります。
言葉は刃物である
まず言葉というものを考えるときに、忘れてはいけないことがあります。
それは、”言葉は刃物である”ということです。
言葉はちゃんと使えば人を助けるものになります。だからこそ僕は今言葉を紡いでいるのだし、とてもいいものだと思うんです。
でも使い方を間違えれば相手を傷つけ、ときには直接的ではとしても命を奪ってしまうものにもなります。
だからこそ、言葉の使い方には気をつけないといけないんです。
言葉を届けるときに大切にしていること
僕が文章を書かせてもらうようになって、書くときに、届けるときに大切にしようと思うことがいくつかありました。
そのなかの一つは、この若松 英輔さんの著書から学んだところが大きいです。
いつも思い出したいときに開いては、あぁ…そうだったなと思い返します。そんなこの本から少し抜きだしてみたいと思います。
愛する者には言葉を贈れ
その人を守護する
言葉の護符を贈れ
朽ちることなきものを
捧げたいと願うなら
言葉を贈れ
願いを込めた言葉ではなく
無私なる祈りにつらぬかれた
言葉を贈れ
その生涯を祝福する
言葉の護符を贈れ
苦しい出来事があって、立ち上がることが困難なときでも、私たちは一つの言葉と出会うだけで、もう一度生きてみようと感じられることがある。別な言い方をすれば言葉は、人生の危機において多くの時間と労力を費やして探すのに、十分な価値と意味のあるものだともいえる。
言葉は、心の飢えを満たし、痛み続ける傷を癒す水となる。言葉は消え入りそうな魂に命を与える尽きることなき炎にすらなる。
若松 英輔『言葉の贈り物』 P9-11
最後に
この若松さんの著作を紹介するのは2作品目だけど 、この人の本は全部読もうと思える人はこのひとの他に数人しかいない。
いつも読むたびに気づかされる。
大切なことはなんなのかと。
でもそれは読みながら、”自分のなかの言葉”と向き合っているのかもしれないと思います。
そうやって出会った言葉を届けること。その繋がりが相手と一つになったときに心が動くんじゃないかと、ふと感じました。
とてもいい本です。
では今日はこの辺で。
今回紹介した本